「大麻」とは「大いなる麻」の略語です。良質の繊維や油が取れ、医療分野でも活用が期待されています。

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中山大麻裁判

本件は、2011年11月29日、麻文化研究者である中山康直氏が、東京都大島町に所在する本人自宅において大麻取締法違反容疑により逮捕された事件です。
被告人は、法廷において無罪を主張しています。

[被告人]   中山 康直
[弁護団]
  主任弁護人 丸井 英弘
  弁護人   森山 大樹


本事件の経緯

2011年11月29日中山康直氏が大麻取締法違反容疑により逮捕される
2011年12月20日中山康直氏が大麻取締法違反により起訴される
2012年2月7日中山大麻裁判初公判
2012年2月24日中山康直氏が行政訴訟を起こす
2012年3月8日中山大麻裁判第2回公判、自由報道協会にて記者会見
2012年4月20日中山大麻行政訴訟初公判
2012年4月24日中山大麻裁判第3回公判
2012年6月7日中山大麻裁判第4回公判
2012年6月15日中山大麻行政訴訟第2回公判
2012年7月3日中山大麻裁判第5回公判
2012年9月19日中山大麻裁判第6回公判
2012年9月28日中山大麻行政訴訟第3回公判
2012年11月6日中山大麻裁判第7回公判
2012年12月14日中山大麻行政訴訟第4回公判
2013年1月17日中山大麻裁判第8回公判
2013年2月27日中山大麻裁判第9回公判 最終意見陳述 ⇒その内容はこちら
2013年4月24日中山大麻裁判第一審 判決 ⇒その内容はこちら
2013年5月17日中山大麻行政訴訟第6回公判
2013年9月12日高裁決定、棄却
2013年12月25日最高裁決定、棄却 ⇒中山康直氏より、終了の御報告と御礼
2014年3月25日中山大麻行政訴訟第一審判決、棄却 ⇒その内容と今後の方針


中山康直氏は、なぜ逮捕されたのか

2011年12月20日に東京地方検察庁 検察官 検事 菅井健二氏により作成された起訴状によると、中山康直氏が逮捕され起訴された事由は下記の通りです。

『被告人はみだりに、大麻を含有する乾燥植物片約27.509グラムを所持したものである。』


初公判において、何が問題にされたのか

この検察官の主張に対して、2012年2月7日に行われた初公判(第1回目の公判)において弁護団側は、以下の点について不明部分を問いました。(求釈明)

1.「みだりに」の意味を明らかにされたい。中山氏の大麻草所持について社会通念上正当な理由が認められないのであれば、その具体的な理由を明らかにしていただきたい。

2. 大麻取締法第1条で禁止されているのは「大麻(カンナビス・サティバ・エル)」であり、「大麻を含有する乾燥植物片」とは、いったい何を言っているのか意味がわからない。
>>本件について証人尋問がありました

3. 大麻取締法の保護法益(法律が保護、実現しようとしている利益)は「国民の保健衛生の保護」とされているが、中山氏が今回所持したことで具体的にどのような侵害があったのか明らかにしていただきたい。
>>「国民の保健衛生の保護」について

これらの弁護団側からの問いに対して、第1回公判の中では検察官側からは明確な回答が示されませんでした。


弁護人は、違法捜査および訴因の不特定により控訴棄却を申し立てました。

第1回公判の中で、弁護人は、以下の理由により、公訴棄却(刑事訴訟法上、訴訟条件を欠くため公訴を無効とする裁判)を申し立てました。

第一に、本件の捜査過程において、違法捜査が多く確認できたことです。
>>違法捜査の実態

第二に、訴因(犯罪の具体的事実)が特定されていませんでした。
>>訴因不特定の根拠


弁護人は、中山康直氏の無罪を主張しました。

第1回公判の中で、弁護人は、以下のように罪状認否(公訴事実を認めるかどうかについて行う答弁) を行い、中山氏の無罪を主張しました。

「みだりに」の部分は否認ないし争う

植村立郎編「注解特別刑法5-Ⅱ医事・薬事編(2)[第2版]Ⅶ大麻取締法」25ページおよび45ページによると、「大麻取締法10条1,2,4項からして、大麻取扱者であった者、大麻取扱者の相続人または清算人が大麻を廃棄するまでの間、および相続人または清算人が大麻取扱者免許の申請をしてその免許を受けるまでの間は大麻を所持することができるものと解する。」とされている。

今回のケースでは、中山氏は1997年に静岡県において大麻栽培者の免許を取得してから6年間、大麻取扱者として産業用大麻の調査研究を行っていた。その後は場所を変えて伊豆大島で栽培者免許を取得するため免許をいったん静岡県に返納した。
伊豆大島で栽培者免許を取得しても、産業用大麻の種子がなければ調査研究を続けることは困難であるため、必要最小限の範囲で種子を保存するために大麻を所持したのである。
したがって、大麻所持が許されるべき正当な事由があったといえる。

※中山康直氏は2012年2月24日、東京都に対して「大麻栽培者免許不許可処分無効確認請求事件」という行政訴訟を起こしました。この時点から、中山氏は大麻取締法をめぐって被告(刑事事件)・原告(民事事件)双方の立場で法廷で争う事になりました。 
不許可処分に対する行政訴訟は、大麻取締法が制定されてから日本の歴史上初めてのケースです。初公判は、4月20日に行われました。


大麻取締法24条第1項は憲法違反、および条約違反である

憲法14条1項違反(法の制定において平等)
アルコールの有害性は公知の事実であるにも関わらず成人以上の者に何ら制限されていない。
過去の判例が認定する大麻の有害性は自動車運転に対する影響のみであり人体に対する大麻の影響はアルコールと大差は無いにも関わらずアルコールと比較して懲役刑という重い刑罰を科している。

憲法31条、36条違反(適正手続)
大麻の有害性は低いことが近年の研究で明らかになっている。また、大麻の使用罪が規定されておらず、所持罪しか規定されていないことからすると、大麻を所持すること自体に何の有害性があるのかが議論されるべきである。

憲法22条違反(職業選択の自由)
産業用大麻の免許を申請して受けるまでの間、最低限種子を保存する目的で大麻を所持した場合に所持罪を適用するのは違憲である。
産業用大麻の種子を廃棄する期間というのは存在していない。行政が栽培者の新規参入をほとんど認めていないという事実があり、なおかつ栽培者に種子の譲渡を禁じていることから、中山氏が種子を保存する目的で必要最小限の大麻を所持するのは職業遂行のために必須だった。

麻薬に関する単一条約違反
1961年の麻薬に関する単一条約28条2項では、「もっぱら産業上の目的(繊維及び種子に関する場合に限る)又は園芸上の目的のための大麻植物の栽培には適応しない。」と規定している。
また同条約前文で「人類の健康および福祉」と制定目的としていることからすると、同条約と大麻取締法は制定目的が同一である。
上位法では禁止しないと規定している事を、大麻取締法で禁止しているのは無効である。


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