「大麻」とは「大いなる麻」の略語です。良質の繊維や油が取れ、医療分野でも活用が期待されています。

中山大麻行政訴訟

中山大麻行政訴訟の経過報告

2012年(平成24年)12月1日
弁護士 丸井 英弘

中山康直氏は、平成9年(1997年)3月31日に静岡県知事から大麻栽培者免許を取得して大麻草の茎と種の有効利用の研究をしてきました。
その後、平成10年にも免許の更新をして引き続き大麻草の栽培をしてきましたが、平成11年に東京都伊豆大島へその活動拠点を移すことになったので、その前年から東京都の担当者と交渉を続け免許を出すという前提で準備をし平成11年になって正式に東京都に免許申請の手続きをしました。
ところが、平成11年3月31日に突如免許を出さないという処分をしてきました。

その後中山康直氏は、静岡県から平成14年末まで引き続き大麻草栽培免許を取得して静岡県にて大麻草の栽培をしてきました。しかし、生活の拠点が本格的に伊豆大島に移ったこともあり、その後は免許が無い状態が続いていました。
ところが、平成23年3月11日の原子力発電所の重大事故に直面しそれまで保管していた産業用の大麻草の種の育種の必要性を実感し自ら保管していた産業用の大麻草の種を増やす目的でその栽培をし、種が含まれている花穂の部分を保管していました。
ところが、同年11月29日に無免許で大麻草を所持していたとして逮捕され同年12月20日に大麻取締法違反で起訴されました。

そこで、仮に東京都知事から大麻栽培者免許が出ていればそれは当然に更新されるので逮捕・起訴されることは無かったことになるので、刑事裁判を有利に展開するために、東京都知事が出した平成11年3月31日付け免許不許可処分の無効確認を求める行政訴訟を平成24年2月24に提起しました。

裁判は、第1回が4月20日、第2回が6月15日、第3回が9月28日に開催され第4回は12月14日午後2時から東京地方裁判所705号法廷で行われます。
裁判の最大の争点は、大麻取締法の立法目的と大麻栽培者免許の免許基準のあり方です。現在労働厚生省は大麻草が有害であるとして原則的にその栽培を認めないという方向で行政指導をしており、大麻草を栽培してその有効利用を推進するということが大変困難になっています。その運用の改善をするためにもこの中山行政訴訟の与える影響は極めて大きいと思います。関心のある方のご支援をお願いします。
以下、12月14日の裁判で提出する準備書面の最後の部分『裁判所への要望』を紹介します。

裁判所への要望

1.大麻取締法には立法目的が明記されていないが、過去の判例によれば、その立法目的は、「国民の保健衛生上の危害の防止」とされている。しかしながら、原告代理人丸井英弘は1975年から今までの37年間において数多くの大麻取締法違反事件を担当したが、大麻草の所持・栽培そして大麻草の摂取に関連して具体的な弊害を確認したことは全くありません。
大麻草の摂取による心身の効果はリラックス作用であり、仮に多量に摂取しても眠るだけであります。大麻草の成分THCは致死量が無く最も安全な薬草であるとも言われている。大麻草には医療上の有用性があることは、最近における情報からも明らかである。
さらに、前述したように,医療用のみでなく、嗜好品としての大麻草の購入と所持が最近アメリカのワシントン州とコロラド州の住民投票で可決されました。大麻取締法の制定はアメリカ政府の占領政策を背景にして制定されたものであるが、そのアメリカ自体の最近の大麻合法化の動きを本件審理の参考にしていただきたい。
本件審理においては、大麻草が国民の保健衛生上危害を与える植物であるのかどうかついて公平な観点から検証し、大麻取締法の立法根拠が果たして国民の保健衛生上の危害の防止であるのか否かを再検討していただき、大麻草の栽培免許の審査基準として検討することは、大麻草の薬理成分のTHCが含まれている花穂と葉の適切な管理と盗難予防のみであること、そして大麻取締法第22条の2は同法第5条2号の欠格事由が無い場合いには原則的に免許を出すということを前提として、その免許の条件として保健衛生上の危害の防止上必要最小限の盗難予防策をとることを認めたものであることを明らかにしていただきたいと要望します。
 
2.証人採用決定について
また,証人採用について以下のとおり要望します。
(1) 冨澤正夫氏(公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター常務理事)の証人採否
まず,冨澤正夫氏を証人として採用決定していただくよう要望します。厚生労働省の外郭団体である公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターは,ホームページの中で大麻は人体にとって有害である旨述べております。そして,その内容は小学校や中学校の教科書に引用されており,多くの国民が大麻について誤解する原因となっております。本件においては,大麻が有害であるか否かが一つの争点となっており,原告としては,公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター常務理事の冨澤正夫氏に対し大麻の有害性の根拠等を尋問することで,この点の真偽を明らかにする必要性があり,また,そうすることで判決に影響を及ぼす可能性があると考えております。
(2) 中井川誠氏(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長)の証人採否
次に,中井川誠氏を証人として採用決定していただくよう要望します。近年,世界各国においては大麻に対しての正しい理解が急激に進んでおります。そのため,原告としては,厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長の中井川誠氏に尋問することで,国の大麻に対する現在の見解を明らかにする必要があり,また,そうすることで判決に影響を及ぼす可能性があると考えております。

3.前述のように、平成24年4月20日付原告本人尋問申請書で申請している原告本人尋問を認めていただきたい。

第一審判決と今後の方針(平成24年3月26日追記)

平成24年3月25日の中山行政訴訟の判決は、「原告の請求をいずれも棄却する。」というものでしたが、その理由で以下のように指摘しており、今後の大麻草栽培免許取得の可能性を示唆するものでした。

「ヘンププラスチック製品(大麻草を原材料の一部に含む箸、杓文字、団扇など)については、これを求める顧客が多数存在し、多くの人にとって生活必需品として生活に密着した必要不可欠なものになっている旨主張する。しかしながら、そのことを裏付けに足りる的確な証拠はないから、原告会社の主張を採用することはできない。」

つまり、多くの人がヘンププラスチック製品を生活必需品として生活に密着した必要不可欠なものになっていれば、大麻草栽培免許取得の可能性があるということです。
本日控訴手続きをする予定ですが、控訴審では多くの人が既に縄文エエネルギー研究所が開発・販売しているヘンププラスチック製品を生活必需品として生活に密着した必要不可欠なものとして利用していることを立証する予定です。

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